季節料理 えつの豊
弘法大師ゆかりの地 青木島
1200年も前の平安時代、旅のお坊さんが青木島の渡し場にやってきて、舟に乗せてくれるよう船頭に頼んだ。だが船頭はお坊さんの身なりを見ただけで黙って向こうに行ってしまった。悲しそうな顔をするお坊さんに、通りかかった若者が「俺のボロ舟でよかったら」と、声をかけてお坊さんを舟に乗せた。
向こう岸に着くころ、「親切にしていただいたお礼に」と、岸辺に生えている葦の葉を四、五枚抜き取り、川に投げ入れると、ただの葉っぱが、たちまち今まで見たことのない魚になって水中深く潜っていった。「あれは唐の国の大きな川に住む『エツ』という魚です。不漁のときその魚をとって暮らしの足しにしてなさるがよい」と、言ったかと思うと、もうお坊さんの姿は夕焼け雲の中に消えて行ったそうです。この時のお坊さんは、若き日の弘法大師(空海)だとか。 大師ゆかりの青木島の渡し場は今はなく、すぐ近くのお堂には,左手にエツをぶら下げた等身大の大師像が祭られています。
幻の魚 エツエツは、ナイフのようにシャープで銀白色に輝く体長30センチほどの筑後川でしかとれない、まぼろしの魚です。(カタクチイワシ科) 生の卵は、とろけるような美味しさで、あじさいの様な色をしています。
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筑後川でのエツ漁「筑紫の誉酒造」では、エツが産卵のため筑後川を上がってくる一番脂ののった時期の約2ヶ月間だけ、自宅の座敷を開放してえつ料理店を営業しています。 当店では、地元漁師の方が朝一番の漁でとれた新鮮なエツを、直接届けてもらいます。
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